大崎博之教授 本文へジャンプ

研究テーマ
  高い磁場均一性を持ったイットリウム系超電導マグネットの設計
  イットリウム(Y)系超電導線材を用い,空間的磁場均一性と時間的安定性が高い超電導マグネットの設計手法の開発を進めている。高い磁場均一性は,NMR (Nuclear Magnetic Resonance) 分光計やMRI (Magnetic Resonance Imaging) 装置のマグネットにおいて欠かせない。Y系線材はテープ状であり,線材を貫く磁束が誘導する遮蔽電流の影響を実験的側面から調査し,それらを考慮したコイル設計モデルの検討を行っている。
  超電導モータ・発電機
  洋上風力発電などへの適用が期待される10MW級大型風力発電機の検討を行っている。大トルク,超低速回転を特徴とするこのような発電機について,三次元有限要素法を使った電磁界解析に基づく特性評価および発電機概念設計を進め,バルク超電導体と超電導コイルを界磁として併用する設計や,超電導コイルを利用した横方向磁束強化型,および一般的なレーストラックコイル界磁を使う設計等を比較検討している。また,冷却系や機械構造の設計検討も併行して進めている。さらに,発電機だけでなく,高出力密度の超電導モータの検討も行っている。
  超電導技術の鉄道への応用
  超電導技術を鉄道システムに適用することの可能性について検討を進めている。磁気浮上鉄道用高温超電導マグネットの設計研究に加え,在来鉄道の直流き電システムへの直流超電導ケーブルの導入可能性,およびそれにその他の超電導機器やエネルギー貯蔵機器等を組み合わせることの可能性などについて,シミュレーションを元に検討を進めている。
  超電導技術と電磁界の医療応用
     MRI (magnetic resonance imaging)を応用して,従来は有効な計測手段が無かった生体の誘電率や導電率の空間分布を計測する新しい手法を開発している。提案手法の測定精度を数値解析で評価するとともに,専用のRFコイルを開発することで信号取得の効率化を図っている。また,患者が在宅で使用するのに適した,コンパクトな経頭蓋的磁気刺激装置の開発にも取り組んでおり,新しい磁場発生コイルの設計を行っている。
  バルク超電導体の電磁現象と応用 
     優れた磁束ピン止め特性により高臨界電流密度を有するRE(希土類)系バルク超電導体の応用を目指して,その中での電磁現象を中心に研究を行っている。バルク超電導体のマグネット応用のための着磁法として,パルス着磁や磁界中冷却法に関して,有限要素法を用いた解析ツールを開発し,効率的な着磁について検討している。また,バルク超電導体の磁気シールド材としての可能性についての検討も進めている。
   マイクロ波励起非平衡プラズマを対象とする自己無撞着の数値解析ツールの開発
     マイクロ波励起プラズマは,低気圧から大気圧まで広い圧力条件で安定的に発生や維持ができるが,そのプラズマパラメータと電磁波伝搬特性は強い依存関係にある。そのために,設計段階での装置最適化は容易でなく,プラズマとマイクロ波伝搬の特性を同時に解析できる必要がある。本研究でFDTD (Finite-Difference Time-Domain) 法による電磁界解析とプラズマ流体解析を連成した数値解析ツールを開発している。